【A once-in-a-lifetime local trip】Stephanie in Grasse

“観光名所で映える写真を撮って有名な人気ホテルに泊まる”
そんなありきたりな旅じゃなく

その地で暮らすローカルの暮らしに触れ

衣食住を通してその生活を体験する
“一期一会の旅”

そんな現地で暮らすような旅を経験した人にその思い出を語ってもらいます。

今回は、コートダジュール在住のStephanieさんが過去に訪れた南フランスにあるグラースでのローカル旅について。香水の都として知られ、訪れる人を魅了する街。
そこで得られるオンリーワンの体験、その背景にあるストーリーとは?

Le Midi - Southern France

フランスと聞いて真っ先に思い浮かぶのはどこでしょうか? エッフェル塔があるパリをイメージする方が多いかもしれません。でも私は思うのです。
「フランスの本当の魅力は南仏にある」と。気候が良くて、人が優しくて、食事が美味しい。
世界中の人から愛されるそんな南仏。プロヴァンス地方とコートダジュール地方を合わせた地域のことを指し、プロヴァンスは内陸部に、コートダジュールは海辺の方にあります。

そんなコートダジュールの魅力は、それぞれの街が見せてくれるいろんな顔。小さな村から、ニースやカンヌのような都会までたくさんの街があり、訪問する季節によって咲いている花や旬の食べ物も変わることから、一度訪れた人はリピーターとして何度も戻ってくる人が多い場所です。 今回ご紹介したいのは、そんな人を惹きつけて離さない魅惑のコートダジュールにあり、香水の都として知られている「グラース」です。

コートダジュールは、フランス語で「紺碧色の海岸」という意味を持ち、私が生まれ育った場所でもあります。19世紀からイギリス人やロシア人貴族の避寒地として親しまれ、20世紀に入ってからもマチスやシャガールのような、たくさんのアーティストにも愛されている地域です。

Place

グラース(Grasse)

グラースは、ニースとカンヌの間の山の上にある小さな街で、なめし革工場のおかげで豊かになりました。17世紀にイタリアのカトリーヌ・ド・メディシス王妃の影響を受け、香りのついた手袋の製造を始め、その後ヨーロッパ中でその人気に火がつき、香水の販売量も増え、19世紀にグレースの街は、香水の都として世界的に知られるようになります。

市内で大きい工場が増えて、町の周りで様々な種類の花を栽培するようになり、20世紀の始めには、栽培量は年間5000トンにもなりました。そして長い伝統の結果として、2018年11月にグラースの香水技術がユネスコの無形世界遺産として登録されるまでになりました。 栽培している花は、ジャスミンが代表的ですが、あのシャネルの人気香水「No.5」に使用されているバラも実は、この地方で生産されたものです。近年は少しずつ都会化が進み、お花畑が減ってきていますが、近くの町ではスミレやラベンダーも取れるのでコートダジュールは香水の大事な生産地の一つです。

Why Grasse?

香水の歴史がとても長いフランス。私たち、フランス人にとって香水は大事な存在です。その存在を例えるとしたらアクセサリーに似ているかもしれません。毎日洋服やイヤリングを選んで身に着けるのと同じように、出かける前にその日の気分で自分の好きな香りを纏います。人によって選び方や使い方は様々ですが、香水をつけない、香水が苦手という人が少なく、男性用はもちろんのこと、赤ちゃんやキッズ用の香水があるくらい生活に欠かせない存在。

私も小さい頃から香水が大好きで、毎回グラースに行く度にどんな発見が待っているかを楽しみにしながら町を散策します。

What to see

旧市街の入口にあるのは、1926年創業の老舗フレグランス「フラゴナール(Fragonard)」の工場。1階は見学可能なアトリエとショップで、2階は香水博物館になっています。 メインの通りをもう少し進むと、フラゴナールのショップをはじめ、香水工場や小さなパフューマー、アンティーク屋さんなど、いろんなお店が立ち並んでいます。
アンティーク屋さんでは、古い香水のボトルを扱っていたりと、それぞれのお店が香水に関係した物を扱っていたりします。

春になるとピンクのアンブレラスカイも登場し、通りが一気に華やかになります。夏は、フレグランスの香りがするミストのシャワーがあったりと季節によっていろんな香りが漂い、また違う顔を見せてくれます。 香水のことをより深く知りたい人には、工場の他に”Le MIP”(国際香水博物館)の見学もオススメです。 1989年に設立されたこちらの博物館では、香水の起源を説明したり、材料になる植物が展示されています。ここで私が一番ワクワクするのは香水ボトルのコレクション。子供時代にミニチュアボトルを集めていたこともあり、なんとなくノスタルジックな気持ちになります。

What to do

私のように香水が好きな方には、一番オススメしたい特別な体験。 それは、世界に一つしかない、自分だけのオリジナルフレグランスが作れる「香水アトリエ体験」。
ただ香水を作るだけでなく、今までの香水に対しての考え方が変わってしまうくらい色々な発見があります。 私もいくつかの香水アトリエに参加してみましたが、一番のお気に入りは、ガリマールのアトリエ(Galimard Atelier)。完全予約制になりますが、100mlのオー・ド・パルファンが作れるので満足度も高いです。最近は、女性向けや男性向けだけでなくユニセックスの香水作りも人気です。 香水の調合には、127種類の香りが並ぶ「香水のオルガン」と呼ばれる調合台から、ローズ、バニラ、グリーンティー、ジャスミンなど、自分のお気に入りの香りを選びます。

香りは、三つの段階(一番濃くて長く続くベースノート、中ぐらいのミドルノート、そして一番飛びやすいヘッドノート)に分かれていて、ボトルに入っている香りを一つずつ嗅ぎ、好きな香りを15種類ほど選んでブレンドします。

選ぶのは楽しいですが、ここは大変な作業の一つ。しばらくすると鼻が疲れてしまい、20〜30分で香りが全部同じように感じてしまうことも。また、好きな香りばかり選んでも、いざブレンドしてみると相性が悪かったりします。もし最終的に自分が納得いく香りができたとしても、普段使いの香水ではないかもしれない。香水を作ることって本当に難しい!(笑)

もちろん、選んでいる間も失敗しないように先生がいろいろ提案してくれるのでスムーズに進みますが、調香師の仕事がいかに大変な仕事かを実感しました。

Galimard Atelier

住所: Studio des fragrances Galimard, 5 route de Pégomas, 06130, Grasse

所要時間: 約2時間
価格: 一人55ユーロ

Why recommend it?

香りと真摯に向き合い自分だけの香水を作る経験は、”人生”に似ているかもしれません。あーでもない、こーでもない、と試行錯誤しながら自分の思いを込めた香水を作ることは、自分の人生への向き合い方そのもの。毎回新しい発見があり、自分を成長させてくれると感じます。

そんな貴重ことに気づかせてくれる体験は、あなたの一生の思い出になるはず。みなさんの人生には、どんなワクワクする”香水”が待っているのでしょうか。もし、将来グラースを訪問する際は、ぜひ香水のアトリエで自分だけのフレグランス作りを体験してほしいです。

Stephanie Lemoine
ステファニー・ルモアーヌ

Instagram : @mycotedazurtours

コートダジュールのツアー会社「マイコートダジュールツアー」社長兼日仏翻訳家・ライター14歳から日本語を学び、2年間の東京留学中に日本語検定1級試験に合格。エズ村の香水工場で勤務後、得意な日本語を活かし、主に日本人向けにコートダジュールを案内したり、日仏翻訳・ライターとして活動。
プライベートでは、11歳と6歳のママで読書と日本語の勉強が趣味。普段から環境意識を持ってサステナブル生活を実践。将来は南仏に関する本を日本語で書くことが夢。

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その地で暮らすローカルの暮らしに触れ

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“一期一会の旅”

そんな現地で暮らすような旅を経験した人に
その思い出を語ってもらいます。

今回は、コートダジュール在住のStephanieさんが過去に訪れた南フランスにあるグラースでのローカル旅について。香水の都として知られ、訪れる人を魅了する街。そこで得られるオンリーワンの体験、その背景にあるストーリーとは?

Le Midi - Southern France

フランスと聞いて真っ先に思い浮かぶのはどこでしょうか?
エッフェル塔があるパリをイメージする方が多いかもしれません。
でも私は思うのです。

「フランスの本当の魅力は南仏にある」と。

気候が良くて、人が優しくて、食事が美味しい。

世界中の人から愛されるそんな南仏。
プロヴァンス地方とコートダジュール地方を合わせた地域のことを指し、プロヴァンスは内陸部に、コートダジュールは海辺の方にあります。

そんなコートダジュールの魅力は、それぞれの街が見せてくれるいろんな顔。
小さな村から、ニースやカンヌのような都会までたくさんの街があり、訪問する季節によって咲いている花や旬の食べ物も変わることから、一度訪れた人はリピーターとして何度も戻ってくる人が多い場所です。
今回ご紹介したいのは、そんな人を惹きつけて離さない魅惑のコートダジュールにあり、香水の都として知られている「グラース」です。

* コートダジュール
フランス語で「紺碧色の海岸」という意味を持ち、私が生まれ育った場所でもあります。19世紀からイギリス人やロシア人貴族の避寒地として親しまれ、20世紀に入ってからもマチスやシャガールのような、たくさんのアーティストにも愛されている地域です。

Place

グラース(Grasse)

グラースは、ニースとカンヌの間の山の上にある小さな街で、なめし革工場のおかげで豊かになりました。
17世紀にイタリアのカトリーヌ・ド・メディシス王妃の影響を受け、香りのついた手袋の製造を始め、その後ヨーロッパ中でその人気に火がつき、香水の販売量も増え、19世紀にグレースの街は、香水の都として世界的に知られるようになります。

市内で大きい工場が増えて、町の周りで様々な種類の花を栽培するようになり、20世紀の始めには、栽培量は年間5000トンにもなりました。
そして長い伝統の結果として、2018年11月にグラースの香水技術がユネスコの無形世界遺産として登録されるまでになりました。

栽培している花は、ジャスミンが代表的ですが、あのシャネルの人気香水「No.5」に使用されているバラも実は、この地方で生産されたものです。
近年は少しずつ都会化が進み、お花畑が減ってきていますが、近くの町ではスミレやラベンダーも取れるのでコートダジュールは香水の大事な生産地の一つです。

Why Grasse?

香水の歴史がとても長いフランス。私たち、フランス人にとって香水は大事な存在です。
その存在を例えるとしたらアクセサリーに似ているかもしれません。毎日洋服やイヤリングを選んで身に着けるのと同じように、出かける前にその日の気分で自分の好きな香りを纏います。
人によって選び方や使い方は様々ですが、香水をつけない、香水が苦手という人が少なく、男性用はもちろんのこと、赤ちゃんやキッズ用の香水があるくらい生活に欠かせない存在。

私も小さい頃から香水が大好きで、毎回グラースに行く度にどんな発見が待っているかを楽しみにしながら町を散策します。

What to see

旧市街の入口にあるのは、1926年創業の老舗フレグランス「フラゴナール(Fragonard)」の工場。
1階は見学可能なアトリエとショップで、2階は香水博物館になっています。 メインの通りをもう少し進むと、フラゴナールのショップをはじめ、香水工場や小さなパフューマー、アンティーク屋さんなど、いろんなお店が立ち並んでいます。
アンティーク屋さんでは、古い香水のボトルを扱っていたりと、それぞれのお店が香水に関係した物を扱っていたりします。

春になるとピンクのアンブレラスカイも登場し、通りが一気に華やかになります。
夏は、フレグランスの香りがするミストのシャワーがあったりと季節によっていろんな香りが漂い、また違う顔を見せてくれます。 香水のことをより深く知りたい人には、工場の他に”Le MIP”(国際香水博物館)の見学もオススメです。

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ここで私が一番ワクワクするのは香水ボトルのコレクション。
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What to do

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ただ香水を作るだけでなく、今までの香水に対しての考え方が変わってしまうくらい色々な発見があります。
私もいくつかの香水アトリエに参加してみましたが、一番のお気に入りは、ガリマールのアトリエ(Galimard Atelier)。

完全予約制になりますが、100mlのオー・ド・パルファンが作れるので満足度も高いです。
最近は、女性向けや男性向けだけでなくユニセックスの香水作りも人気です。
香水の調合には、127種類の香りが並ぶ「香水のオルガン」と呼ばれる調合台から、ローズ、バニラ、グリーンティー、ジャスミンなど、自分のお気に入りの香りを選びます。

香りは、三つの段階(一番濃くて長く続くベースノート、中ぐらいのミドルノート、そして一番飛びやすいヘッドノート)に分かれていて、ボトルに入っている香りを一つずつ嗅ぎ、好きな香りを15種類ほど選んでブレンドします。

選ぶのは楽しいですが、ここは大変な作業の一つ。
しばらくすると鼻が疲れてしまい、20〜30分で香りが全部同じように感じてしまうことも。
また、好きな香りばかり選んでも、いざブレンドしてみると相性が悪かったりします。
もし最終的に自分が納得いく香りができたとしても、普段使いの香水ではないかもしれない。香水を作ることって本当に難しい!(笑)

もちろん、選んでいる間も失敗しないように先生がいろいろ提案してくれるのでスムーズに進みますが、調香師の仕事がいかに大変な仕事かを実感しました。

Galimard Atelier


住所: Studio des fragrances Galimard, 5 route de Pégomas, 06130, Grasse

所要時間: 約2時間
価格: 一人55ユーロ

Why recommend it?

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あーでもない、こーでもない、と試行錯誤しながら自分の思いを込めた香水を作ることは、自分の人生への向き合い方そのもの。
毎回新しい発見があり、自分を成長させてくれると感じます。 そんな貴重ことに気づかせてくれる体験は、あなたの一生の思い出になるはず。

みなさんの人生には、どんなワクワクする”香水”が待っているのでしょうか。 もし、将来グラースを訪問する際は、ぜひ香水のアトリエで自分だけのフレグランス作りを体験してほしいです。

Stephanie Lemoine
ステファニー・ルモアーヌ

Instagram : @mycotedazurtours

コートダジュールのツアー会社「マイコートダジュールツアー」社長兼日仏翻訳家・ライター14歳から日本語を学び、2年間の東京留学中に日本語検定1級試験に合格。エズ村の香水工場で勤務後、得意な日本語を活かし、主に日本人向けにコートダジュールを案内したり、日仏翻訳・ライターとして活動。 プライベートでは、11歳と6歳のママで読書と日本語の勉強が趣味。普段から環境意識を持ってサステナブル生活を実践。将来は南仏に関する本を日本語で書くことが夢。

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